種作りから種入れまで
海苔は江戸時代まで漁師の経験と運によって生産されていました。しかし昭和になって養殖技術が確立、作業の機械化ができるようになったことで安定して生産されるようになりました。海苔の養殖はまず3~8月にかけて種作りの作業を行うことからスタートします。海苔の種は殻胞子という目に見えないほど小さな粒で、この種を放出する果胞子を春先に牡蠣殻に植え付け、培養を行っていきます。9月に入ったら養殖の準備がスタートです。養殖の方式には沿岸で行う支柱式、沖合で行う浮流式の2種類があります。種付けは支柱式で行って、養殖を支柱式、浮流式で行うのが一般的です。10月になると種入れを行います。水温が25℃を下回る大潮のタイミングで果胞子を植え付けた牡蠣殻を、小さなビニール袋に入れ、海苔網に取り付けます。また果胞子がきちんと付着しているか網を一部切り取り顕微鏡で覗いて確認し、問題が無ければビニール袋を外してさらに養殖を続けます。
干出から収穫
おいしい海苔ができるまでの大切な作業として、養殖の合間に干出という作業を行います。これは海苔網の高さを調節し、風や太陽に網ごと海苔を干すものです。海苔は乾燥に強いことから、この作業を行うことで海苔以外の海藻を上手く除去できるといったメリットもあります。また海苔の芽が5cmほどまで育ったら、収穫用、二期作・三期作のための冷凍保存用に網を分けていきます。海苔芽は引き揚げ乾燥させるとマイナス25度の冷凍庫でも死ぬことは無く、海に戻すことで再度成長します。海苔は天候によって生育が左右されやすいことから、冷凍網を分けておくことで安定した供給を図れるよう保存しておくのです。養殖した海苔は12~3月にかけて収穫を行います。海苔が光合成を始める前の時間を狙い、収穫は夜明けに行われます。船に乗せたカッターで海苔を摘み取ったら、原藻は加工場へのタンクへと運ばれます。海苔は基本的に3期作で収穫を行います。1期作の秋芽は1番海苔と呼ばれ、柔らかく風味を楽しめるなど収穫の時期によって風味や硬さには違いが出てきます。市場に出回っている海苔は3番海苔以降が大半を占めるため、より柔らかく風味のある海苔を求める場合には1番海苔を探す必要があります。
加工と出荷
おいしい海苔ができるまでの最終段階として、運ばれてきた海苔を工場で加工します。工場では海苔についた異物を取り除いたり洗浄して細かく切り刻んでいきます。きれいにして刻んだ海苔は製造機にかけられ一定数に結束、箱詰めされてから検査、集荷です。検査では検査員が艶や色、形状などを見極め海苔に等級をつけていきます。等級付けは熟練の目利きが不可欠で、細かく分類されたのち、各地に出荷されていきます。手間暇かけて作られた海苔は食べ比べてみると味や風味が全く違うので、どれも同じとひとくくりにしてしまうのでは無く、よりこだわって作られた1番海苔を選んでいくのがおすすめです。
