海苔は私たち日本人にとって、ソウルフードというべき伝統的な食べ物の1つです。一説によれば縄文時代から日本人は海苔を食べていたのだとか。おにぎりや海苔巻き、軍艦巻き、あるいは磯辺焼きなどさまざまな料理に使われます。もちろん、そのまま食べても美味しい海苔ができるまでにはどのような工程をたどっているのでしょうか。
海苔が育つ環境
海苔の養殖に適している海水の温度は10~18℃です。海水温が18℃以上になると育たず、10℃以下になっても成長できません。海苔ができるまでには、まずは環境選びから始めなければならないのです。
穏やかな遠浅であることも重要な条件です。海苔は栄養塩を食べて育ちます。栄養塩とは、川や生活排水などから流れてきた、動植物などから分解された窒素や珪素、リンなどのことです。雨が降ると栄養塩は川に流れ、河口から海へと入り、海苔の栄養になります。栄養塩が少ないと栄養不足で海苔は育ちませんが、栄養塩が増えすぎるとプランクトンが増えすぎ、水質が悪くなってやはり海苔は育ちません。環境を守るうえでも、海苔などの成長が良くなるうえでも適度なバランスが保たれていることが大切です。
海苔の育て方
海苔ができるまでの工程の第一段階は、種づくりです。海苔の種は牡蠣の貝殻の中で育ちます。1月~9月の間に牡蠣の殻に糸状体という海苔の胞子を潜り込ませます。夏が終わり海水の温度が下がってくると、糸状体は殻胞子という海苔の種を放出します。のり網にこの種を付着させることを、採苗(さいびょう)と言います。採苗の方法は2種類あります。大きな水槽に糸状体がついた牡蠣の殻を入れ、大きな水車に網をつけてぐるぐる回しながら種づけする「陸上採苗」と、落下傘という袋に牡蠣殻を入れてのり網につるす「海上採苗」です。
採苗が終わったら、おもに2つの方法で海苔を育てていきます。支柱にのり網を縛り付けて育てる「支柱式漁場」と、のり網に浮きをつけ、錨を海底におろして固定し、のり網を浮かせた状態で育てる「浮き流し漁場」の2種類です。支柱式漁場で育てた海苔は柔らかく、少し赤みがあります。浮き流し漁場で育てた海苔は、少し硬めですが黒く艶があります。
収穫から出荷まで
海苔の芽が15~20㎝くらいになったら収穫します。昔は1枚1枚手作業で収穫していましたが、現代は機械を積んだ船がのり網の下に潜り込んで摘み取ります。1枚ののり網から板海苔300~500枚程度の海苔がとれます。海苔の収穫はたいてい11月中旬から翌年の5月頃まで続きます。
収穫した生海苔を細かく切り、真水で洗って機械ですきます。細かくなった海苔を脱水、乾燥し、剥ぎます。これらの工程を終えた海苔を10枚ずつ重ねて半分に折って、さらに10帖(じょう)ずつ重ねて1束にします。これで海苔が完成。あとは漁業組合に出荷するだけです。漁業組合では、検査を行って品質を確認した後で入札し、その後さらに乾燥させる「火入れ」という作業を行います。火入れがすんだら商品に加工します。
