海苔の養殖に適した有明海
有明海では海苔の養殖が盛んです。福岡県柳川市にある心和水産をはじめとして、多くの生産者が海苔の養殖に携わっています。有明海には美味しい海苔を作るための条件が揃っているのです。
有明海の特徴として、最大6mの干満差があります。この干満差によって潮流が起き、二酸化炭素が漁場全体に行き渡ります。二酸化炭素は、海苔のような藻類が光合成によって栄養を作り出すのに欠かせません。
有明海のもう1つの特徴は、多くの河川が流れ込んでいることです。筑後川や鹿島川、遠田川や矢部川など、100を超える河川が有明海に流れ込んでいます。森の栄養を含んだ川がたくさん流れ込んでいるので、有明海は非常に栄養が豊富なのです。また、淡水と海水が混じっていることで塩分濃度が調整され、柔らかくて口どけのする、美味しい海苔を養殖できる環境が整っています。
さらに、1日に2回、「干出」になります。「干出」とは、海苔網が海面の上に出る状態のことです。満潮の時には海の中で二酸化炭素を吸収し、「干出」の際に太陽の光を浴びることで光合成をし、栄養を作り出します。
海苔の養殖は種の培養から始まる
心和水産が所属する大和漁業協同組合では、海苔の養殖をする際に、種(胞子)の培養から行っています。購入するのではなく、種を培養して、養殖するという方法を昔から行ってきました。手がかかることなので、このような方法で養殖しているのは、有明海でも全体の30%ほどしかありません。
美味しい海苔ができるまでの工程
有明海では、4月から10月は養殖の準備期間です。糸状体と呼ばれる、海苔の種になるものを牡蠣の殻に植え付けます。植え付けが終わったら、海水の入った水槽の中で育てます。養分が不足したり、病気になったりしないように、温度管理もきちんと行って、大切に育てていきます。
10月中旬には、形成された殻胞子嚢から出てきた殻胞子を養殖用の網に取り付ける作業に入ります。牡蠣殻をビニール袋(落下傘と呼ばれる)の中に1つか2つ入れて、網にひもなどでぶら下げていきます。糸状体は、乾燥すると死んでしまうので、手早く行う必要があります。
種付けした養殖用の網は漁場に持っていき、支柱にくくり付けて海に広げます。やがて、殻から胞子が出てきて、網に根を張り、成長していきます。この育苗の期間は、海苔ができるまでの期間の中でもとても大切な期間で、製品としての海苔の美味しさや品質に大きな影響を及ぼします。
11月中旬から3月にかけて、摘み取りが行われます。摘み取りは、海苔芽が15~20cm程度になったタイミングで実施します。摘み取った海苔は、加工場で加工されます。
加工場では、海苔を水洗いした後に、異物を取り除きます。それから、海苔をミンチにして、四角い形にすき、乾燥させます。乾燥させた海苔を10枚で1帖として、さらに10帖ごとに1束にされて、機械から出てきます。
